Model 4708 Input Audio cable kit “OTA kit”

Spec

STRATOS(ケーブル)50m(インターコネクト/スピーカー/デジタル/全てのケーブルに適合)
RCAピンプラグ12個、バナナプラグ8個
・自作ケーブル・キットが可能にした「空中配線」
・2ピース構造(+-分離)のオリジナル樹脂製プラグ(非磁性体デルリン)
・オーディオケーブルSTRATO直径0.4mmの銅単線がもたらす最高のスピードと位相整合

4708はシニカルなケーブルです。その裸のフォルムは47研の嗤いを包み隠せません。この嗤いは、今日のテクノホリック、ピュアイズム、神秘主義、そしてそれらにお墨付きを与えるだけのジャーナリズムに向けられた嗤いです。オーディオケーブルメーカーとしての47研は、恐らくどのメーカーよりもケーブルに対して醒めた目を持っています。オーディオシステムに置かれたケーブルは、必要悪以外の何物でもなく、その存在を小さくする努力にしか進化を認められません。47研にとってケーブルの進化とは、「消滅へのプロセス」であり、4708は自らの存在を極限まで矮小化したケーブルシステムです。

ケーブル自重について

これまでケーブル自重が問題にされたことは殆ど無かったでしょう。しかし47研にとって、これは重要なファクターです。ケーブルは、自重によって自らを振動体(床、壁)に押しつけ、重いケーブルほど芯線が受け止める振動の衝撃は大きくなります。
芯線を振動からアイソレートするべきダンピング材がケーブル自重の増加に一役買うので、意図したほどのダンピング効果が得られないばかりか、ダンピング材に蓄えられた振動エネルギーの解放を、これまたダンピング材が妨げるため、音楽のダイナミクスの変化がケーブルに吸収され、リズムが立ちません。この悪循環を断ち切るにはケーブル自重を軽くする以外に有効な手だてはありません。
4708のケーブル(Stratos)の自重は、1メートルあたり僅か5グラムです。

芯線直径について

「太い芯線は重低音が出る」と言うのは本当です。但しその重低音がソース(CDやレコード)に含まれるものかどうかは疑わしいと言わざるおえません。太いケーブルを使って重低音が出たとします。太いケーブルの先には、ウーファーの「か細い」ボイスコイルが繋がっています。もしその「重低音」がソースに含まれるものであれば、ボイスコイルと同じ線経のケーブルを使っても再生されるはずです。ところがそのような「重低音」は出ません。つまりケーブルによる低音の差とは、固有振動数の異なるケーブルの「音色」の差でしかないのです。
太い芯線は振動エネルギーの蓄積が大きく、エネルギーの解放が遅れるため、音楽のダイナミクスの細かな変化に追従できません。一旦振動すると止まりにくく、振動(鳴き)を止めるために芯線を締め上げるため、芯線にストレスがかかります。芯線にかかるストレスは音の伸びを妨げ、周波数レンジを狭めます。同様に重いケーブル自重や、きつい縒り合わせも芯線にストレスを与えます。ケーブルに限らず、あらゆるコンポーネンツに与えられる「ストレス」と「ダンピング」は、音楽の躍動感を殺す2大ファクターです。
Stratosの直径は0.4mm。これは聴感上、低音から高音までの音のスピードが揃いうる最大の直径です。資料によればこの線経で連続200Wの入力に耐えるとされています(ミュージックパワーではありません)。これで役不足でしょうか?もう一度ウーファーのボイスコイルの太さに戻って考えてみてください。
ケーブルをイコライザーとして認識し、楽しむことを否定するつもりはありません。しかし、質の良い低音をケーブルの太さに求めるのは本筋ではありません。本筋はもっと別のところ、つまり電気の通り道の太さにではなく、振動の通り道の明快さに求めるべきです。

メッキの有無、より線か単線か、銀線か銅線か

銀か銅かは好みの問題と割り切っています。メッキの有無、そして、より線か単線かの選択は、47研にとって、信号経路を1つにするか複数にするかという選択でした(メッキ部分とそれ以外の部分で2つの信号経路が形成されると考えています)。但し単線を選択した場合、芯線の弾性を巧くコントロールしないと振動がいつまでも収まらず、音のキレ、定位が甘くなり、演奏の背景もざわついてしまいます。
Stratosの芯線は、メッキ無しの銅の単線です。直径が細く弾性が小さいため、軽い被覆で巧みに弾性をコントロールしています。

プラスティック製ピンプラグとバナナプラグ

プラグの使命は「相手のジャックに確実に接触すること」、これだけです。
金属製プラグは一般に、ハンダ、真鍮、金メッキを介して芯線をジャックに接触させます。このような介在物が音楽信号にとって好ましいはずはありません。しかもStoratosの芯線にとって、金属製プラグは巨大なエネルギー貯蔵庫であり、Storatos本来のフットワークを損ねます。
4708のプラスティック製ピンプラグとバナナプラグは、Stratosの芯線を相手のジャック、あるいはポストにダイレクトに接触させることを可能にしました。この結果、絶縁体であるプラスティック製プラグは、いわばケーブル外皮の延長となり、コンポ同志を芯線でダイレクトに結合する「プラグレス・コンタクト」を実現しました。ハイスピードで抜けがよく、フラットで、濁りのないスムースな音質は、如何なる金属製プラグも寄せ付けません。但しケーブルをコンポの基盤にハンダ付けすれば、4708のプラスティック製プラグの音を越えられます(笑)。
ピンジャックとの接触強度に不安を持たれる方もいらっしゃるでしょう。しかし、プラスティックの弾力に加えて、ピンジャックへの挿入の際の圧力で芯線がある程度へしゃげるため、ピンジャックと芯線の密着度は極めて良好です。

ケーブル・システムはD.I.Y.が理想

もしケーブルの長さを自由に決められたら、コンポの配置にジャスト・フィットするケーブルシステムが構築できます。自作ケーブル・キット4708なら、それが可能です。50m巻きのStoratosを好きな長さでカットしてプラグをセットするだけ。そのメリットはシグナル・パスの最短化だけではありません。醜いケーブルの引き回しがすっきりし、ケーブル同志の接触も回避できます。自作に必要な工具は、はさみとペンチだけ。半田ごては使いません。ピンプラグには短いケーブルをセットした製作見本も入っていますので、どなた様でも比較的簡単に製作できるでしょう。

オールマイティーな4708

4708は、インターコネクト、デジタル、スピーカー、ビジュアルのいずれのケーブルに使用しても最高の性能を発揮します。

使用上のアドバイス

・+側と-側のケーブルはツイストしても良いし、しなくてもよい。ツイストすると音像型になり、ハムに対しても若干強くなる。ツイストしないとレンジの広い音場型となる。ツイストする場合は決してきつく縒りあわせないこと。芯線にストレスがかかり、レンジが狭く、歪みっぽい音になります。したがって 1ターンあたり3cm以上の緩いツイストにすること。ツイストしない場合、+、-のケーブルの間隔を管理する必要は全くありません。ちなみに私たちはツイストしない方を好みます。

・シールド線は被せないこと。効果がないばかりか、逆にアンテナとして働く場合の方が多い。ケーブルの自重が増えて芯線にストレスがかかる。振動を蓄えて解放を遅らせる。この結果、鈍重な音になること請け合いです。

・Storatosケーブルの外皮には、[47Laboratory]のロゴがプリントされています。この文字の流れに沿ってケーブルは引き出されているので、ケーブルの方向性を気にする方は、このロゴで確認してください。ちなみに私たちはまったく無頓着です。

・ケーブルを、ひもやビニタイで縛らないでください。どうしても必要な場合は、きつく締めずにゆるゆるの状態にしてください。

・最短距離は理想ですが、あまり欲張って短くするとケーブルの曲げがきつくなり、ケーブル外皮の反発力で芯線にストレスがかかります。あまり欲張らずにゆとりをもってケーブル長さを決めて下さい。

・「ケーブルにストレスをかけない」これが最も重要なキーワードです。

・Storatosケーブルは電源供給ケーブルとしては設計されておりません。電源供給ケーブルに使用するのは危険ですのでお止め下さい。

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